東京での保育士の年収はどれくらい?地方と比較した際の違いを解説
保育士の年収は地域によって大きく異なりますが、東京都は448万円とほかの地域と比べて高い水準にあります。では、なぜ東京での保育士の収入は高い傾向にあるのでしょう。
この記事では、東京都の保育士の年収をはじめ、地方と比較した際の違いについてまとめました。保育士の給与に影響を与える要因についても解説しています。
保育士として働きたい方や保育士の年収平均を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
東京の保育士の年収
東京都の保育士の年収は約448万円と、全国平均を大きく上回っています。月給に換算すると約29.8万円です。これは厚生労働省が実施した「賃金構造基本統計調査」による、令和3年度の東京都内の保育士の平均年収になります。
この平均年収には管理職クラスの給与も含まれているため、一般的な保育士の給与はこれよりも低くなる可能性が高いです。ハローワークの求人情報によると、東京都の保育士求人で提示されている平均月給は21.8万円から25.9万円の範囲となっています。
ただし、これらの数字は経験年数や年齢、役職などによって大きく変動します。東京都の保育士の平均年齢は37.6歳、平均勤続年数は6.8年となっており、この条件に近い保育士であれば、上記の平均年収に近い給与を得られる可能性が高いでしょう。
地方と比較した際の違い
東京都の保育士の年収は地方と比較すると大きな差があります。この差は生活コストや保育需要の違い、自治体の政策などによって生じている可能性があるでしょう。
地方と東京都の保育士の違いは、給与を比較すればより明確になります。ここでは、東京の保育士の給料がなぜ高いのか詳しく解説します。。
保育士の給料平均でみても東京が1位
保育士の給料を都道府県別にランキング化すると東京都が1位です。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、東京都の保育士の平均年収は434万円で、2位の京都府(407万円)、3位の千葉県(397万円)を大きく引き離しています。
この結果から、東京都の保育士の給与水準は全国的に見ても突出しています。しかし、比較する際は金額だけにこだわるのではなく、各地域の物価水準や生活コストも考慮に入れる必要があるでしょう。
たとえば、東京都は家賃や物価が高いため、実質的な生活水準は必ずしも給与の差ほど高くない可能性があります。また、保育ニーズの高さや業務の忙しさなども、地域によって大きく異なる点に注意が必要です。
東京の保育士の給料が高い理由
東京都の保育士の給料が高い理由はいくつかあります。
まず、東京都は物価や家賃が全国的に見ても高い地域であり、それに応じて給与水準も高く設定しているところが多いです。また、保育におけるニーズが非常に高く、保育士の需要が大きいことも給与を押し上げる要因となっています。
さらに東京都は保育士の定着を促進するために、独自の支援制度や補助制度を設けています。たとえば、地方から移住してきた保育士のための家賃補助や、保育士の子どもの保育料を補助する制度などです。
これらの制度が結果的に保育士の実質的な収入を増やしています。加えて、東京都には大病院や大企業が多く、24時間体制の院内保育所や企業内保育所が増えている点も保育士の給与を押し上げる要因として考えられるでしょう。
エリアによって保育士の給料が異なるのはなぜ?
エリアによって保育士の給料が異なるのは、性別、学歴、保育園の運営形態、年齢や経験年数、役職の有無が影響しているためです。ここでは、保育士の給料に影響をあたえる5つのポイントについて詳しく解説します。
性別
保育士の給与は性別によって若干の差が生じています。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、男性保育士の平均年収は358万円、女性保育士は356万円です。
この差は僅かですが、男性の方が少しだけ高い傾向にあります。ただし、この差を単純に性別による待遇の差と結論づけるのは早計です。
なぜなら、保育士全体の男女比を見ると、女性が93.4%、男性が6.6%と圧倒的に女性が多いからです。このような極端な比率の違いがある中で、男女の給与を安易に比較するのは適切ではありません。
また、年齢や経験年数、役職などの要因も考慮に入れる必要があります。
学歴
保育士の給与に対する学歴の影響は、一般的にほかの職種ほど大きくありません。多くの保育園では保育士資格の保持こそがもっとも重要視され、学歴そのものはあまり問われない傾向にあります。
ただし新卒採用の場合、大卒者の初任給が短大卒や専門学校卒に比べてやや高く設定される場合があります。とくに公務員として保育士に採用される場合は、大卒、短大卒、高卒で給与に差がつくケースが一般的です。
しかし、民間の保育園では学歴よりも保育士としての経験やコミュニケーション能力、子どもへの接し方などの実務スキルが重視される傾向にあります。したがって、長期的に見ると、学歴よりも実務経験や能力向上の方が給与に大きな影響を与えるといえるでしょう。
保育園の運営形態
保育園の運営形態は保育士の給与に大きな影響を与える要因のひとつです。一般的に公立保育園や認定こども園、認可保育園などは公的な補助が手厚いため、職員の給与水準も比較的高くなる傾向があります。
具体的な理由としては、国や自治体からの運営費補助や職員の処遇改善における加算などを受けられるためです。
一方、認可外保育園などは公的補助を受けにくいため、保育士の給与が比較的低くなる傾向があります。また、私立保育園の場合は運営母体となる法人の経営方針や財政状況によって給与水準が大きく異なるケースが多いです。
さらに企業主導型保育所や病院内保育所など、特定の目的を持った保育施設では、その特性に応じた給与体系が採用される場合もあります。したがって、保育士として働く際は施設の運営形態も考慮に入れて選択する必要があるでしょう。
年齢や経験年数
保育士の給与は年齢や経験年数によっても大きく変動します。年齢が上がり経験年数が増えるにつれて、給与も上昇するのが一般的です。
厚生労働省の調査によると、女性保育士の場合は20〜24歳の平均年収が294万円であるのに対し、45〜49歳では392万円まで上昇しています。この傾向はとくに公立保育園で顕著です。定期昇給制度により年齢や経験に応じた給与上昇が保証されています。
一方、私立保育園では法人の方針によって昇給制度が異なるため、必ずしも年齢や経験年数に比例して給与が上がるとは限りません。ただし、経験を積んで保育スキルが向上し、より責任のある立場に就けば給与が上がる可能性は高くなります。
給与アップはキャリアアップこそが重要といえるでしょう。
役職の有無
保育士の給与は役職の有無によっても大きく変わります。園長職や主任職などの管理職に就けば、給与の増加が見込めるでしょう。
たとえば、一般の保育士から主任保育士になると、月給で数万円の差が生じる場合もあります。また、園長になるとさらに給与が上がり、年収で100万円以上の差がつくケースも珍しくないです。
ただし、役職に就ける人数には限りがあるため、すべての保育士が管理職になれるわけではありません。公立保育園になると年功序列の傾向が強く、役職に就くまでに長い時間がかかることがあります。
一方、私立保育園では成果主義を採用しているところもあり、比較的若くして役職に就ける可能性もあるでしょう。とくに新規開園する施設では、経験豊富な保育士を役職者として積極的に採用する傾向にあります。
まとめ
東京都の保育士の年収は全国平均を大きく上回る約448万円です。これは物価の高さや保育需要の多さ、自治体の独自支援策などが要因となっています。
一方で地方との給与差は大きく、最大で100万円以上の開きがあります。ただし、給与だけで安易に比較するのではなく、生活コストや仕事環境なども考慮しなければなりません。
また、保育士の給与は性別や学歴よりも、経験年数や役職、保育園の運営形態などに大きく影響されます。とくに公立と私立、認可と認可外では給与体系が大きく異なる傾向があるので注意しましょう。